@article{oai:kaetsu.repo.nii.ac.jp:00000351, author = {樋笠, 尭士}, issue = {1}, journal = {嘉悦大学研究論集, KAETSU UNIVERSITY RESEARCH REVIEW}, month = {Oct}, note = {P(論文), 実際には被害者による殺人の嘱託・同意がないにもかかわらず、行為者が、殺人の嘱託・同意が存在すると誤信し、被害者を殺害するという事案がある。かかる事案の行為者には、刑法199条の殺人罪が成立するのか、それとも、同法202条の同意・嘱託殺人罪が成立するのかという問題について、本稿は、函館地判平成26・4・30、札幌高判平成25・7・11など近年の裁判例を素材に、従来の判例実務を考察する。その中で行為者が明らかに客観的に刑法199条を実現していると判断される場合に、我が国の裁判所は刑法38条2項を適用していることを指摘する。これに対して、被害者の同意・承諾が存する可能性がある場合には、刑法38条2項によらず、刑法202条を直接適用しており、このことから、裁判所は199条について、人を「その嘱託を受けずかつその承諾も得ずに」殺したという「書かれざる構成要件要素」を用いた上で、「その嘱託を受け若しくはその承諾を得て」という刑法202条の客観的構成要件要素が充足され得ない可能性が生じた場合に、緩衝材のように刑法38条2項を適用して、同法202条を適用していると推論する。この限りで、裁判所は客観的構成要件要素である「その嘱託を受け若しくはその承諾を得て」という条文の文言を行為者の主観的構成要素と解していると思われる。本稿では、我が国の裁判所が減軽事情を主観的構成要件要素とするドイツ刑法16条2項と同様の解釈に従って、刑法38条2項を適用していることを導出する。ドイツ刑法16条2項と同様の「減軽類型の既遂のみ成立」という効果を刑法38条2項によって達成する場合には、ドイツ刑法のように、同意殺人の決意を、同意によって決意されたものと解することが必要である。そして、本稿は、刑法202条の殺人の故意を、嘱託又は承諾のあることにより初めて生じた殺人の故意であると解し、刑法199条の殺人の故意と同法202条の殺人の故意が別の概念であると解釈した上で、刑法38条2項を適用して、行為者に同法202条の罪を成立させることができると結論づけるものである。}, pages = {45--59}, title = {殺人の嘱託に関する錯誤 : ドイツ刑法16条2項を手がかりに}, volume = {59}, year = {2016} }